スキップフロアのある家。空間が有効活用できるほか、家族の会話も広がる設計 - ハウスジャパン

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2024.08.28 UP

スキップフロアのある家。空間が有効活用できるほか、家族の会話も広がる設計

居住空間を個性的かつおしゃれに見せることができるスキップフロア。しかし、メリットはそれだけではありません。空間の有効活用ができる、無駄なスペースを省ける、家族間のコミュニケーションが増える、といったように多彩なメリットがあります。

そこで今回のコラムでは、スキップフロアを設置することによって得られるメリットについて解説します。またデメリットや注意点のほか、スキップフロアを取り入れた住宅の実例も紹介しますので、間取りを考える際にぜひ参考にしてください。

目次

スキップフロアとは?

スキップフロアとは、同じ階層に設けられた高さの異なるフロアのことです。一般的な一戸建て住宅であれば1階の次は2階となりますが、段差や階段を設けることで中2階(1.5階)、中3階(2.5階)、半地下などを設けることができます。階段の途中にフロアがあることで空間の変化や上下階のつながりが生まれます。空間を立体的に使える、一体感や開放感があるなど、一般的な住宅にはない空間の広がりを感じることができます。

スキップフロアは一戸建て住宅だけではなく、ビルや、商業施設などさまざまな建築物で導入されています。一戸建て住宅の場合、傾斜地を活用するため、また狭小住宅を建てる際に効率的に空間を構成するために用いられることが多いですが、個性的でおしゃれな空間を創造することもできるため、特に建築上の制限がない注文住宅にも取り入れる例が増えています。

スキップフロアに関連するワードとして覚えておきたい言葉をいくつか紹介します。

半地下…半地下は、地上におけるロフトのような形で使用される部屋です。建築基準法において半地下の定義はなく、扱いは地下と同じになります。床面から地盤面の高さが、天井高の 1/3以上埋まっている部屋を地下室とみなします。高い防音性や、年間を通じての温度差が小さいことが特徴で、音楽室や食品の貯蔵庫としての利用に効果的です。

中2階…1階と2階の間にあるフロアのことで、1.5階といわれることもあります。カウンターやデスクを設けてワークスペースに使ったり、子どもの遊び場にしたりとさまざまな使い方があります。収納スペースとする例もあります。

ロフト…階層の同じスペースを2層に区切った上部の空間に当たります。スキップフロアと同じように設置することで空間を有効活用できますが、自治体によっては固定の階段を設けてはいけないなど制限があるため、設置する際は注意が必要です。

スキップフロアを設置するメリット

スキップフロアの設置には多彩なメリットがありますが、代表的な6つのメリットを紹介します。

空間を有効活用できる

スキップフロアの最大のメリットは、空間を縦方向につなげることができる点です。そのため、狭小地などの狭い敷地、容積率に余裕がない土地の場合でも、段差を使って縦方向の空間を利用することで居住空間に開放感が生まれます。

また階段の下の空間を収納スペースとして使ったり、廊下を設けなくても間取りを構築したりできるため、無駄なスペースを減らすことも可能です。そのため、スキップフロアを活用することで、限られた空間を有効に活用することができます。

開放的で明るい空間になる

スキップフロアは、ドアや扉といった仕切りをつけなくても、階段や段差によってゆるやかに空間を分けることで間取りを構成できます。や扉などによって空間を細かく分断せずに上下のスペースをつなげられるため、開放感のある広々とした居住空間が実現します。

また、スキップフロアによって縦方向に空間ができることで、開放的な吹き抜けをつくることもできます。吹き抜けの上部に高窓を設けたり天窓を設置したりすれば、より開放的で、明るい空間になるでしょう。

空間にメリハリができる

スキップフロアを設けると、室内に階層ができて居住空間にメリハリができます。この場合、目線が上下にも動き、見える景色も異なります。高低差のおかげで単調なデザインにならず、飽きの来ない室内空間になるでしょう。

また、上からリビングを眺められることも、一般的な一戸建て住宅にはないスキップフロアのある家の特徴です。同じ空間で異なる景色を楽しめるほか、模様替えの際にもさまざまなアイデアや工夫が生まれるはずです。

家族間のコミュニケーションが増える

スキップフロアを設けることで、開放感のある間取りにしやすいという特徴があります。そのため、家族間のコミュニケーションが増えると考えられます。

例えば、LDKとつながる中2階を子どもの遊び場にする間取りでは、子どもが何をして遊んでいるのかがキッチンにいる奥様にも分かります。また、遊んでいる声を聞いたり、距離によっては会話をしたりすることも可能でしょう。親子ともに安心しながら、日々を過ごすことができます。

収納などさまざまな活用方法がある

スキップフロアは家族が生活するスペースとしてだけではなく、さまざまな使い道があります。例えば何らかの制限があり、高さに余裕がないフロアを設ける場合は、丸ごと収納スペースにするといったアイデアもよいでしょう。

スキップフロアやデッドスペースを活用して棚や収納を設ければ室内に置くものが減り、スッキリした空間で生活できます。ほかにも、カウンターを設けて作業スペースをつくったり、階段下にヌックを設けたりして、遊び心のある間取りにできるのもメリットの一つです。

風通しがよくなる

スキップフロアの家は、ゆるやかな空間の区切りで壁やドアなどを少なくできるのが特徴です。間取りの工夫次第では、空間を遮るものが少なくなり、風通しや採光がよくなります。

風通しの良い家は、カビやダニの発生が抑えられる、ホコリが床にたまりにくいなど衛生的にも良好な環境をつくり出します。また梅雨の時期や寒い時期は風通しが良いと結露が起きにくく、家を長持ちさせるのにも有効でしょう。

スキップフロアを設置するデメリット

スキップフロアを設置するメリットを把握できたところで、デメリットについても確認しましょう。代表的な6つのデメリットを紹介します。

設計の難易度が高い

スキップフロアのある家は平面だけではなく、階段の上り下りによる高さの違うフロアがあることから、設計の難易度が高いと考えられます。キッチンとリビング、ダイニングの位置関係をどうするかなど、家事動線と生活動線にも工夫が必要です。間取り・設計を失敗してしまうと、生活を始めてから、家の中を移動するだけで疲れてしまうといった事態になることも考えられます。

一般的な間取りとは耐震構造も異なるため、柱や梁などの構造計算も難易度が高くなることが想定されます。さらに空間が分断されないため、熱は上に逃げやすく、冷気は下にたまりやすいでしょう。そのため適切な空調設備の配置、日当たりの計算なども注意が必要になります。

スキップフロアを導入するにはこれらも考慮して設計をする必要があるため、知識や実績が豊富なハウスメーカーや設計士などを選ぶことが重要です。

バリアフリーでなくなる

スキップフロアのある家は、段差や階段を複数設けるため、段差の少ないバリアフリーには反することになります。例えば、室内の移動を車椅子で行う家族がいる場合、その家族の負担は大きなものになってしまうでしょう。

また生まれたばかりの子ども、階段を一人で上り下りできるくらいの小さな子どもにとっても危険な家になってしまいます。階段を踏み外したり、引っかかったりする可能性もあり、子どものケガの頻度を高めてしまうことになるからです。この点もデメリットといえます。

冷暖房のランニングコストがかかる

スキップフロアのある家は、段差や階段によって空間を区切るため、居住空間は開放的になるのが一般的です。しかしその分、家全体を暖めたり冷房を効かせたりする必要があるため、各部屋が壁で区切られた住宅に比べて冷暖房のランニングコストはかかりやすいと考えられます。

冷暖房効率の悪さを解消するには、居室内にシーリングファンやサーキュレーターを設置したり、床暖房を設けたりする方法があります。また建物の気密性や断熱性能を向上させるために、断熱材のグレードを上げるといった方法も考えられるでしょう。しかし、これらを導入するには建築コストがかさんでしまいます。

建築コストがかかる

建築物は複雑な構造になるほど、建築コストがかかるものです。居住空間内に複数の階段を設けて、フロアで区切るスキップフロアのある家は、ドアや扉の数は少ないものの建築コストがかかりやすい傾向があります。

また前述したように、断熱性能を向上させたり、耐震性を向上させたりする必要があれば、さらに建築コストがかかります。事前に見積もりを取って、よく検討をしてから依頼するようにしましょう。

音やにおいが広がりやすい

空間に広がりがあるのがスキップフロアのある家の特徴ですが、その分、音やにおいが広がりやすいという問題もあります。例えばダイニングで焼き肉をした場合、そのにおいが住宅内に広がってしまい、それぞれの部屋に染み込んでしまうことも考えられます。

またリビングで大きな音でテレビを見ていた場合、その音が上階の部屋に届いてしまうといったことも考えられるでしょう。こうしたことが住みにくさにつながりやすいのも、スキップフロアのある家のデメリットといえます。

掃除がしにくい

住宅の中にいくつも段差や階段があるので、掃除がしにくいこともデメリットの一つです。一つひとつの段差を丁寧に掃除しなければならず、時間も労力も必要です。また階段の隅には特にホコリがたまりやすいため、丁寧に掃除をしなければなりません。お掃除ロボットを使用している場合でも、階段や段差の掃除はできず不便に感じるでしょう。この点もデメリットの一つです。

また吹き抜けを設ける場合は、上部の方の掃除をどのようにするのかも事前に検討しておきましょう。「吹き抜けはつくったけれど、掃除の仕方を考えていなかった」という失敗例は少なくありません。

スキップフロアが向いている土地とは?

スキップフロアには、向いている土地の形状・状態などがあります。代表的な3つについて解説していきます。

狭小地

土地価格の高い都心では、土地の購入代金を抑えられる狭小地の販売も多く見られます。敷地は狭いですが、最寄り駅から近いなど、利便性の良い土地が手に届きやすく、人気も高くなっています。

この狭小地と相性が良いのがスキップフロアです。狭い敷地を平面で捉えると使える空間は限られますが、スキップフロアでは空間を縦方向に使えるため、居住空間を十分に確保することができるのです。

段差を設けることで部屋数を確保できますし、廊下を減らすことで無駄なスペースもなくせます。目線の動きを利用したり、段差部分を収納スペースに充てたりすれば室内空間を広く見せることもできるため、スキップフロアを導入することで狭小住宅の難点をカバーできるでしょう。

傾斜している土地

斜めに傾いている傾斜地もスキップフロアと相性が良いと考えられます。斜めに家を建てることはできませんが、傾斜がついている箇所にスキップフロアを組み合わせることで、傾斜地でも無理なく住宅を建てることができるのです。

斜面を使って半地下にガレージを設けるほか、立地によっては斜面側に窓を設けると日当たりや景観が良くなります。

斜線制限の影響がある土地

土地にはいくつか制限が設けられており、土地の広さに対して建物の大きさは制限されるのが一般的です。その一つが高さ制限で、一般的な土地の場合は「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」「絶対高さ制限」「日影規制」の5つの制限が設けられています。これは隣家などの日当たりを確保するために設けられているもので、このような斜線制限などにより建ぺい率と容積率通りに建物が建てられないケースもあります。

しかし、斜線制限の影響が出る部分をスキップフロアに活用して、半地下や中2階にしたりすることで、制限があっても満足のいく住宅を建てられる可能性は高まります。

スキップフロアをやめたほうがよいケースとは?

メリットが多彩なスキップフロアですが、反対にデメリットもあることからやめたほうがよいケースもあります。詳しく紹介します。

家族間のプライバシーに配慮したい

スキップフロアは居住空間の区切りが少なく、音やにおいなども広がりやすいという間取りの特徴があります。開放性がある分、家族の目に触れやすいです。

そのため家族のプライバシーに配慮したい、家族の音が気になる、家族同士の干渉をできるだけ避けたいといったケースでは、スキップフロアの導入は慎重に検討するようにしましょう。

家族に高齢者がいる

スキップフロアは居室空間内に数多くの段差をつくります。そのため、足元に不安のある家族がいる場合は、導入を控えたほうがよいでしょう。

ただしスキップフロアにしたからといって、通常の2階建て住宅と比べて極端に階段が多くなるというわけではありません。反対に、階層ごとの階段の数は少なくなるため、間取りの工夫次第では、一度の上り下りでかかる負担は軽くできると考えられます。

「足腰が弱いのでできるだけ段差のない家で生活を」と考えるのか、「ある程度段差があるほうが足腰を鍛えられる」と考えるのかでも異なりますので、家族でじっくりと話し合うようにしましょう。

なお、すでに室内で車椅子を使っている、杖がなくては移動ができないといった家族にとっては、スキップフロアのある家で暮らす負担は大きいと考えられます。

建築コストを抑えたい

スキップフロアを導入することで床下収納や中2階を設けることができます。そのため、住空間が快適になることもあるでしょう。しかしスキップフロアを設けることでフロアが増えてしまうため、使う建築資材が多くなります。また、高度な施工技術も求められるため、建築コストが高額になってしまう可能性があるのです。

そのため、建築コストをできるだけ抑えたい意向がある方は、慎重に検討しましょう。ただし予算内でスキップフロアを導入したいという場合は、事前に見積もりを取って、担当者にアドバイスをもらいながら進めていくこともできます。実績が豊富なハウスメーカーや工務店に相談してみましょう。

スキップフロアを設置する際の注意点

スキップフロアを設置する際に注意したい点、覚えておくと役に立つ2つのポイントについて解説します。

自治体によってスキップフロアの解釈が異なる

スキップフロアを設ける際の知識として覚えておきたいのが「面積不算入」です。建築基準法によると、天井高を1.4メートル以下(直下の階の床面積の1/2未満などの条件あり)にすると一般居室には該当しないため、床面積としてカウントされないことになっています。

建物の大きさは、土地に設けられた建ぺい率と容積率によって上限が決まっていますが、床面積にカウントされない天井高1.4メートル以下のスキップフロアを設けると、部屋として使えるのに面積に含まれないということになります。

例えば狭小地ではこうした面積不算入を用いることで、カウントされない空間ができることになります。そのため、空間をより有効活用することができるのです。

ただし、自治体によって解釈が異なり、面積不算入の適用範囲が異なるケースもあります。床面積によって固定資産税・都市計画税の納税額が異なるため、面積不算入を活用することで毎年の納税額を抑えることもできます。そのため、自治体ごとの条件について、事前に調べておくようにしましょう。

実績が豊富なハウスメーカーや工務店に依頼する

スキップフロアはさまざまなメリットがあり、有効に使うことで狭小地などの土地の難点をカバーしたり、快適で個性的な空間に仕上げたりすることもできます。

しかしその分、建物の耐震性や快適性、適切な空調環境など考慮すべき要素が多く、設計の難易度が高い傾向もあります。そのため、スキップフロアの導入実績が豊富にあり、何棟も設計・施工している業者に依頼するようにしましょう。

また実績を確認することも重要で、ホームページなどのほか、実際に問い合わせてスキップフロアに関して相談してみることも検討してください。

スキップフロアを設置した実例集

スキップフロアを希望する方は多く、ハウスジャパンにも数多くの実績があります。実際にスキップフロアを導入した実例を紹介していきます。

吹き抜けとスキップフロアを組み合わせたモデルハウスです。スケルトン階段にしたことで、階段下のスペースにも空間の広がりを感じることができます。

窓からたっぷりと日差しが差し込み、部屋の広がりが感じられます。中2階下のスペースをおこもり用のヌックに有効活用しているのもポイントです。

吹き抜けの上から見たLDKです。白い壁や手すりで明るく開放的になり、緑も映えています。

スキップフロアを設けることで2階とゆるやかなつながりが生まれます。

中2階は色々なスペースとして活用することが可能です。子どもの成長に合わせて遊び場にしたり、勉強スペースにしたりすることもできます。

スキップフロアを活用して中2階を設けたモデルハウスです。リビングにいる家族の存在も感じ取ることができます。

スキップフロアを活用することで、読書や趣味などの時間をゆっくりと過ごせる中2階になります。LDKを見渡すことができ、明るく開放的な印象です。

スキップフロア下の空間にワークスペースを設けています。2人分の椅子が置けるので、子どもたちが並んで勉強したり、パパやママが勉強を教えたりするのにも便利です。カウンターの上下に棚を設けており、収納スペースもしっかり確保しています。

ワークスペースや趣味のスペースなどにすることで、デットスペースを極力減らすことに成功しました。

まとめ

スキップフロアとは、一つの階層に段差や階段を設けることで生み出されたフロアのことです。空間を縦方向に有効活用できるため、狭小地や傾斜地などに住宅を建てる際に主に導入されます。また個性的な間取りにできるため、土地に制限がない場合でも広く取り入れられるようになっています。

今回のコラムでは、スキップフロアにはデッドスペースがなくなる、家族間のコミュニケーションがしやすいといったメリットと、プライバシーが守られにくい、高齢者や子どもには優しくないといったデメリットがあることを紹介しました。

また設計の難易度が高い、建築コストが高くなる傾向があるなど、住宅に取り入れる際の注意点もクローズアップしました。これらも参考にして検討するようにしましょう。

なお、スキップフロアのある家の実績があるハウスメーカーや工務店に依頼することも重要なポイントです。相談の段階から丁寧なアドバイスをしてくれる担当者を選ぶことで、満足のいくスキップフロアのある家に近づくことができるはずです。
ハウスジャパンでは、スキップフロアのあるモデルハウスを見学できます。お気軽にご相談ください。

マーケティングチーム

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