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マーケティングチーム
2024.11.13 UP
マイカーは単なる移動手段ではなく、プライベートを充実させるのに不可欠なもの。行動範囲を広げるためだけではなく、自分の趣味やこだわりを表現するのにも大切な存在です。
そんな愛車と一緒に暮らせるのが、ガレージと住宅が一体となったガレージハウスです。住宅街でひときわ存在感を放つそのおしゃれな外観に、「家を建てるなら、ぜひガレージハウスを」と憧れの眼差しを向ける方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ガレージハウスの概要やメリットを紹介します。また、デメリットについても解説するほか、おしゃれな事例も紹介しますので、「ガレージハウスの本当の魅力が知りたい」と気になっている方はぜひ参考にしてください。
ガレージハウスとは、ガレージと居住スペースが一体になった住宅のこと。いわば、愛車と一つ屋根の下で暮らせる住空間です。愛車との距離が近くなるため、「近くに愛車を置いておきたい」「愛車と一緒に暮らしたい」といったように、特に車好きの方から人気がある住宅の形態です。
また土地が狭い場合、住宅とは別に駐車場スペースを設けることが難しいケースがあります。そのような場合でも、ガレージハウスにすることで駐車場を確保できるメリットがあります。
なお駐車場スペースには、屋外のスペースである「青空駐車場」や柱と屋根のみの「カーポート」などがありますが、ガレージは入口以外の3方向が壁に囲まれた車庫という位置付けです。また、ガレージハウスに設けられているガレージのことは、「ビルトインガレージ」や「インナーガレージ」と呼びます。本記事では、ビルトインガレージと記載しています。
住宅をガレージハウスにするメリットはいくつかありますが、代表的な以下の4つについて詳しく解説していきます。
ガレージハウスの1つ目のメリットは、愛車を雨や風などの被害から守れることです。建物の中に愛車を駐車できるため、雨や風に当たることはありません。
特に最近は、ゲリラ豪雨が発生して横殴りの雨が降ったり、強風に乗って傘や看板などが飛んできたり、ゴルフボール大のひょうが降ってきたりすることもあります。ビルトインガレージであれば、このような場合も車への被害は起きにくいでしょう。
また、雨や風から守られることで同時に汚れにくくもなります。屋外に駐車していると砂ぼこりや雨、風の影響で車が汚れますが、ビルトインガレージであれば駐車中に汚れが付くことはありません。洗車の回数が少なく済むという点で、経済的なメリットもあるのです。
ガレージハウスの2つ目のメリットは、悪天候時の車の乗り降りが楽になることです。家から駐車場までの距離が遠い場合、天気が悪いと雨に打たれたり、強い風に吹かれたりします。これからお出かけという際にせっかくの楽しみも半減してしまいますが、ガレージハウスの場合は玄関からすぐに車に乗ることができます。
ガレージハウスであれば家から外に一度も出ずに愛車に乗ることができるので、大きな買い物をした際に荷物がぬれてしまうこともありません。
ガレージハウスは、愛車の防犯対策にもとても有効です。建物内に愛車を保管しているため、屋外に駐車するよりも被害に遭いにくいからです。
愛車を屋外に駐車することで生じるリスクは盗難被害だけではありません。イタズラされて傷を付けられたり、近所の子どもが蹴ったボールが当たったりすることもあり得ます。そうしたリスクが低いのもガレージハウスの大きなメリットです。
ガレージは愛車を置いておく車庫としての用途だけではなく、収納スペースとして活用することも可能です。収納スペースといっても、普段使わないものを置くのではありません。ビルトインガレージの場合は、メンテナンス用のカー用品やアウトドアグッズなどのアイテムを収納したい場合にも向いています。デザイン性を持たせるほか、家の中から見えるように室内窓を設けたり、ガラス張りにしたりすることで、より楽しい空間になります。
そのほか、子どもの遊び場として活用したり、バーベキューをしたり、おうちグランピングをしたりといったようにマルチなスペースにもなります。
多くのメリットがある一方、ガレージハウスにするにはデメリットもあります。代表的な以下の5つについて解説していきます。
ガレージハウスを検討する際にネックとなるのが建築コストの高さです。
ビルトインガレージの大きさは駐車だけであれば6坪(19.83㎡、約12帖)程度で、この部分が大きな空間となる上に、車の出入りのために間口を大きく取る必要があります。さらに、1階部分の梁や柱を太くするなどで耐震性を強化しなければなりません。
また、ビルトインガレージの大きさによっては木造で建てるのが難しく、鉄骨やコンクリートを使う可能性もあります。近年は木造門型フレームという工法で、車並列2台までが収まる開口を確保できますが、建築コストが高額になる可能性があります。
ガレージハウスは1階部分にビルトインガレージを設けるため、必然的に居住スペースが狭くなってしまいます。住宅を建てる際はいろいろな制限がありますが、敷地面積に対する代表的な制限が建ぺい率と容積率です。敷地面積に対して建てられる建築面積(建物を真上から見た面積)の割合が建ぺい率で、敷地面積に対して建てられる延床面積の割合が容積率です。
住宅は土地に対して設けられている建ぺい率と容積率を守って建てなければなりませんが、ガレージハウスの場合はビルトインガレージの部分も建ぺい率と容積率に含まれます。つまり、本来居住スペースとして活用できたはずの空間をガレージにするため、同じ敷地面積で同じ建ぺい率と容積率で建てた住宅に比べて居住スペースが狭くなってしまうのです。
敷地面積が広ければ建物を大きくすることで問題にはなりませんが、敷地面積が狭い場合は特にデメリットと感じてしまうかもしれません。
ガレージハウスは1階にビルトインガレージを造るため、必然的に間取りが制限されてしまいます。
また、ビルトインガレージで発生するエンジンの音や振動、シャッターの開閉音などが生活に影響を与えることもあります。ガレージの真上が寝室であれば音や振動で眠れない、リビングならリラックスできない、子ども部屋なら勉強に集中できない、といったことも考えられるでしょう。夜遅くの帰宅や朝早い出発の際は特に気になるはずです。
このような理由から、ビルトインガレージが普段の生活に影響を与えないような間取りにする必要があるため、設計の難易度が上がってしまうのです。
ガレージハウスの場合、ビルトインガレージでエンジンをかけるため、家族にとって音や振動、排気ガスの発生が気になることもあります。そのため、騒音や換気、振動対策は必須になります。
騒音や振動対策は、ビルトインガレージと住居の間に吸音性のある素材を挟むなどが考えられます。
またビルトインガレージの換気対策としては、湿気対策も併せて換気扇を必ず設けるようにしましょう。ガレージのシャッターも音や振動がするため、静音性の高いシャッターを導入することも検討しましょう。
ガレージハウスの場合、ビルトインガレージの部分も固定資産税の対象になります。一方でカーポートは固定資産税の対象にならないため、この点はガレージハウスのデメリットといえるでしょう。
固定資産税は、「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」という3つの条件が満たされている建物が対象になります。外気分断性とは外部と内部の区別に関係するもので、屋根があり、3方向以上が壁で囲まれている建物は外気分断性があると判断されるのが一般的です。カーポートが固定資産税の対象にならないのは、壁がないため「外気分断性がない」とされることが理由です。
定着性とは、建物が土地に固定されていることです。地面に置いているだけで移動が容易な物置のような車庫の場合は定着性を満たしていないと判断され、固定資産税の対象にはならない可能性があります。一方、ビルトインガレージは建物と一体となって地面に固定されているため、定着性があると判断されます。
用途性とは、建物に特定の目的や用途があることです。車を保管する目的があるビルトインガレージは、用途性を満たしていると判断されるのが一般的です。このように3つの条件をすべて満たしているため、ビルトインガレージは固定資産税の対象になるのです。
なお、固定資産税は以下の計算式で算出できます。
固定資産税=固定資産税評価額×税率(1.4%)
固定資産税評価額は建築費用の60%が目安です。ビルトインガレージの建築コストが200万円だった場合、固定資産税評価額は120万円、固定資産税額は16,800円となります。
ただし、固定資産税は自治体によって対応が異なっています。家づくりで会社を選ぶ際は、こうした税金はもちろん、地域の情報に詳しい工務店やハウスメーカーに相談することをおすすめします。
ガレージハウスにする際に、事前に検討しておきたいポイントがあります。代表的な以下の4つのポイントについて、詳しく解説していきます。
ビルトインガレージを設ける際は、直接居住スペースに入れる勝手口を設けると便利です。居住スペースからマイカー、マイカーから居住スペースといったように移動が楽にできるからです。雨の日でも雨に当たらず愛車に乗れますし、荷物の積み下ろし時も天候が気になりません。
ただし、勝手口が一つ増えてしまうため、間取りに制約ができることもあります。壁の一部分がドアになるからです。そのため、勝手口を居住スペースのどこに取り付けるのか、取り付けた場合の使い勝手はどうか、靴はどこで脱いだり履いたりすると楽か、無駄なスペースが生まれないか、動線が複雑にならないか、などを慎重に検討しましょう。
注文住宅の場合、ビルトインガレージの大きさも自由に決めることができます。ただし、ただ駐車できればよいわけではなく、快適に乗り降りできることも踏まえてビルトインガレージの大きさを決めることが重要です。
ビルトインガレージの大きさを決める際に目安となるのが、国土交通省が公共の駐車場を設計する際の基準です。以下のように対象車両別にサイズが決められています。
対象車両 | 長さ | 幅員 |
軽自動車 | 3.6m | 2.0m |
小型車 | 5.0m | 2.3m |
普通車 | 6.0m | 2.5m |
小型貨物車 | 7.7m | 3.0m |
出典:国土交通省「駐車場設計・施工指針について」
https://www.mlit.go.jp/road/sign/kijyun/pdf/19920610tyuusyajou.pdf
また、人が歩くのに必要な幅は60cmといわれ、左右両側のドアを開けることを考えるとマイカーの全幅プラス1.2m前後のスペースが必要です。例えば、愛車の全幅が180cmであれば、ビルトインガレージの出入り口は3m以上あるとよいでしょう。
もちろん車を駐車するだけではなく、収納スペースや作業スペースが欲しい場合はさらに広さを確保しなければなりません。
愛車の所有台数によってもビルトインガレージの大きさは異なります。1台であれば6坪前後が平均的ですが、2台以上を所有している場合は台数分の広さが必要になります。また、家づくりを始めた段階で所有しているのは1台でも、将来的に奥さまや旦那さまが使用する軽自動車を所有したり、子どもが大きくなったりしたときのことを考えて、2台分のビルトインガレージを用意しておくというのもよくあることです。
ただし、土地の面積や形状、前面道路の幅などによっては、ビルトインガレージ内に並列駐車ができないケースもあります。この場合は縦列駐車にすることが考えられますが、車の出し入れが不便になることも想定されます。またビルトインガレージのサイズが大きくなると、耐震性をさらに強化する必要がある上、間取りへの影響も大きくなると考えられます。
このように、ビルトインガレージの大きさを決める際には検討材料が多く、将来のことも考えて家族で話し合うことが重要です。
ビルトインガレージは青空駐車やカーポートと比べて、両側に壁があるため車庫入れが難しく感じる可能性があります。車庫入れが苦手という方は、ビルトインガレージの間口を広めに取ることがおすすめです。
ガレージへの車庫入れは前面道路の幅や車通りの多さ、ガレージ前のスペースの広さ、人通りの多さや歩道の有無などによって難易度が異なります。それらを加味した上で、どのように車庫入れするとしやすいのか、などをハウスメーカーや工務店と相談しながら、大きさや向きなどを検討するといいでしょう。
ガレージハウスの特徴やメリット・デメリットについて把握できたところで、実際のガレージハウスの事例を設計の際のポイントも含めて紹介します。
大好きな愛車との暮らしを実現するために設けたのがビルトインガレージ。愛車の大きさも考慮したガレージの大きさは、幅3.64m×奥行6.14m(約22㎡)とやや大きめです。
内壁の仕上がりはコンクリートの打ちっぱなしをイメージ。愛車の手入れをするための収納棚を置いても広々と使えます。壁上部には採光用の窓も設置しています。
玄関に設けられた手洗い場。帰宅時はもちろん、ビルトインガレージで愛車をお手入れした際にも便利。来客のときにも活躍しています。
セメント系無垢材の内装ボードを装飾したリビングはシックな装い。ガレージとつながる壁には窓を配置し、リビングでくつろぎながらも愛車の様子を感じられるレイアウトになっています。
「愛車の存在が際立つビルトインガレージを」というご主人の希望を叶えたガレージハウス。間取り構成はまずビルトインガレージの位置を決めてから。奥様のご要望もくみ取りながら、ガレージ・玄関・LDK・水回りをつなぐ無駄のない動線を確保しました。
愛車のメンテナンスやカスタムができるように、ビルトインガレージは幅3.64m×奥行6.37m(約23㎡)とLDKとほぼ同じ広さに。電動シャッターを採用しているため静かで、隣家にも迷惑になりません。
整備士のご主人愛用のツールボックス Snap-on(スナップオン)を置いてもゆとりがあります。
居住スペースからガレージが見えるよう玄関に設けられた大きな窓。愛車だけではなく、趣味に没頭するご主人の存在も見守ります。
ビルトインガレージが玄関につながるプラン。荷物の運び出しや帰宅後にすぐ手洗いができるように、ストレスフリーな動線を実現しています。
「いつも愛車を眺めていたい」「愛車を感じていたい」という車好きの方は多いもの。メンテナンスするだけではなく、「自分なりにカスタムをしたい」「家を持つのをきっかけにカーライフをより充実させたい」という憧れを抱いている方もいるのではないでしょうか。
ガレージハウスには、愛車の防犯性を高める、雨や風から守るなどのメリットがある一方、建築コストが高額になったり、騒音や振動対策を行う必要があったりと、デメリットや注意点があることも紹介しました。気になるデメリットや注意点をクリアするためにも、ガレージハウスの施工実績が多い工務店やハウスメーカーを選ぶようにしましょう。
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