記事の著者
マーケティングチーム
2024.05.21 UP
注文住宅は、設計や仕様、設備などの選択により、当初の予算をオーバーしてしまうこともあります。
また、土地から購入する場合、土地代金と建物の建築費用の予算配分を間違えると、理想的な注文住宅を建てることが難しくなります。
この記事では、2,000万円台の予算で建てられる注文住宅について、資金計画で注意すべき点も併せて解説します。
図表1は2022年住宅着工統計調査 住宅着工統計から、愛知県の「持ち家の一戸当たりの平均工事費」と「1㎡当たりの工事費」から平均床面積を算出したものです。
図表1
平均工事費 | 2,602万円 |
1㎡当たりの工事費(1坪当たり) | 22万円/㎡(72.72万円/坪) |
平均床面積 | 118.2㎡(35.75坪) |
これをみると、工事費2,602万円で平均118.2㎡の広さの家が建てられていることから、2,000万円台の予算は、注文住宅を建てるうえで平均的な予算ともいえます。
大手のハウスメーカーから中堅の住宅会社、ローコストメーカーなど、依頼先によって工事坪単価は異なりますが、2,000万円台の建築工事費であれば、建築面積にもよりますが、幅広く選択できそうです。
ただし、住宅会社によって建築坪単価に含まれるものが異なることがあるので注意が必要です。そのため、2,000万円台の予算でどこまでの工事、あるいは諸費用が含まれるのかを比較して決める必要があります。
建売住宅の場合、土地建物を含めた売買代金と諸費用という内訳のため、比較的資金計画も立てやすく、当初の予算をオーバーするということも起きにくいです。
一方、注文住宅の資金計画は、さまざまな費用の内訳を考える必要があるため、予算の使い方によって建てられる家は変わります。ここでは2,000万円台の予算の使い方について、注文住宅の費用の内訳をもとに解説します。
注文住宅の建築費用の内訳は、大きく本体工事と付帯工事、諸費用に分けられます。費用の内訳の目安としては、本体工事費70%、付帯工事費20%、諸費用10%となります。
図表2
費用内訳 | 建築工事全体に占める割合 | |
本体工事費 | 仮設工事 | 70% |
基礎工事 | ||
木工事 | ||
内装工事 | ||
外装工事 | ||
設備工事 | ||
設計・監理費 | ||
付帯工事費 | 水道・ガス・電気の引込工事 | 20% |
駐車場・外構工事 | ||
空調工事 | ||
照明・エアコン・カーテンなどの取付工事 | ||
地盤調査(地盤改良)工事・解体費用など | ||
諸費用 | 登記費用・住宅ローン諸費用・火災保険・税金・祭事費用など | 10% |
本体工事費は建物そのものの建築にかかる費用で、一般的に住宅会社の坪単価といわれるとき、本体工事に対する坪単価を表しているケースが多いです。
仮に、2,000万円を建物本体工事に使うとすると、その他の付帯工事費や諸費用を含めた建築費用は約2,850万円となります。例えば、建築坪単価が60万円で家を建てるとすると、2,000万円÷60万円=約33.33坪(約110.18㎡)の家が建てられます。
また、2,000万円を建物本体工事と付帯工事に使うとなると、建築費用は約2,220万円となります。この場合、建物本体工事にかける費用は、およそ1,550万円です。建築坪単価60万円の家を建てるとすると、約25.83坪(約85.38㎡)の家が建てられます。
このように、注文住宅の建築費用に対して2,000万円をどこまでの費用として考えるかで、必要な予算も建てられる広さも変わります。
2,000万円台注文住宅の間取り例 1LDK+3S+ガレージ 建築面積:74.52㎡ 延床面積106.40㎡
【ガレージのある家】
LDKとほぼ同じ大きさのガレージほか、日々の暮らしを充実させる機能的な動線×趣味を楽しむ間取りが魅力的です。
忙しい毎日にも、ゆとりや楽しみを見出すことのできる住まいを実現しました。
スケルトン階段のあるリビングは、2階との緩やかなつながりをデザインしています。
スケルトン階段で2階と繋がっています。
【自宅サロンのある家】
「美」にこだわりのあるご夫婦が建てた、広々としたプライベートサロンがあるお家です。
デザイン性の高さや利便性の高い動線のほか、美容と健康にも配慮された設計が見どころです。
落ち着いた照明やクロスでリラックスできる寝室です。
折り上げ天井と梁が映えます。
稲妻型のスケルトン階段が映える玄関ホールです。
2階にピクチャーウィンドウがあり、ホール吹き抜け部分から漏れる明かりが素敵な夜の雰囲気を演出します。
【家族で創る軽やかな暮らし】
暮らしやすく、考え抜かれた間取りのお家です。
シンプルながらも、ブラックのアクセントが効いたモダン&スタイリッシュなインテリアです。
シンプルな間取り・デザインゆえに、家族のライフスタイルや好みに合わせたコーディネートが可能です。
レイアウト自由なLDKです。
土地代込みで、2,000万円台で家を建てることも可能です。ただし、注意しなければならないこともあります。
土地代込みで予算を考える場合、土地代金のほか土地購入のための諸費用(仲介手数料や登記費用など)に建築費用を加えたものが総予算となります。
そのため、土地にかける費用と建築費の予算配分が非常に大切です。このとき、土地探しを先行し、土地代が決まってから建物プランの検討に入ると、広さや間取り、設備のグレードなど、本来こだわりたい部分で妥協せざるを得なくなることもあります。
つまり、まずは建物プランや外観デザインから必要な建築資金の目安を把握することが重要です。そして、総予算内でその建物プランが実現できる土地を探すことで、理想に近い注文住宅を建てられる可能性が高くなります。
土地探しが条件的に厳しい場合は、土地の立地条件や広さなど、土地を優先するのか、建物を優先するのかを判断して、予算配分を調整しましょう。土地を探す方法は様々ありますが、依頼する住宅会社を決め、一緒に土地探しを進めることがおすすめです。
2,000万円台で注文住宅を建てるときのポイントについて解説します。
建築工事のおよそ3割を占める付帯工事費や諸費用をしっかり見積もることが大切です。土地から購入する場合、水道やガスなどの引込工事や地盤改良工事など、当初の資金計画で見積もることが難しい費用もあります。ただ、そういった工事が必要となると、かかる金額は少なくないため、あとから慌てることがないように資金計画で見込んでおくことが大切です。
また、注文住宅は完成までにさまざまな諸費用があります。利用する住宅ローンなどで諸費用が変わることがありますので、諸費用の負担も意識しましょう。
なお、土地購入時の仲介手数料も不動産会社を介した場合には必要ですが、住宅会社などから直接購入することでコストダウンできるものもあります。
注文住宅だからといってすべての設備や仕様にこだわると坪単価は上がります。キッチンやバスルーム、トイレ、洗面などの水回りは、グレードやオプションによってかなりの金額差があります。
また、ウォークインクローゼットやパントリー、小屋裏収納などもあると便利かもしれませんが、間取り全体の収納率や使い勝手を含めて必要性をしっかり判断しましょう。
住宅設備を選ぶときは、何を重視するかがポイントです。
新しい機能やデザインを見ると取り入れたくなってしまいますが、何を重視するかを考えて優先順位をつけると、後悔することも少なくなるでしょう。
2階建てより平屋の方が建築コストを抑えやすいかというとそうとも限りません。
2階建と比べて低層である分、構造的には安定しやすいため、必要な間仕切りを減らしたり、足場代を抑えられたりできる面はあります。
ただ、同じ広さの総2階建てと比べると、平屋建ては建築面積が広くなります。そのため、基礎や屋根の施工面積が増え、反対に高くなってしまうケースもあります。
また、土地から購入する場合も、建築面積が広い分必要となる土地面積が広くなる可能性も考えることが必要です。
建築プランを考えるとき、間取りや外観をシンプルにすることで予算を抑えることも考えましょう。
総2階建てで凹凸が少ない形状にすることで、外壁面積を抑えやすく、屋根の形状も複雑にならず、コストダウンにつながります。
また、可能であれば部屋数を減らし、間仕切りの数を抑えることで、部材や仕上げ、人件費にかかる費用を抑えることが可能です。家事動線を考えながら、水回りをできるだけ集中させることで、配管工事や資材でコストカットもできます。
予算によっては企画住宅も選択肢の1つです。
企画住宅は、住宅会社があらかじめ企画した間取りやデザイン、仕様、設備などから商品を選んでいく住宅です。
企画化されているものから選ぶことで、フルオーダーの注文住宅と比べコストが抑えやすく、建築費用がオーバーする可能性も少なくなります。土地購入費を含めて2,000万円台で収めたいなど、予算は限られているが、注文住宅にこだわりたいという方にもおすすめです。
2,000万円台で注文住宅を建てるとき、まずは土地と建物にかける予算のバランスを考えて進めることが大切です。そのため、住宅会社と一緒に土地探しをすることで、かける費用の調整はしやすくなります。
また、注文住宅の予算を考えるとき、注文住宅の費用の内訳、住宅会社によって異なる建築坪単価に含まれるものをしっかりと理解して進めることが必要です。そうすることで、建築本体の費用にあてられる予算を明確にすることができ、住宅会社を選びやすくなるでしょう。
2,000万円台の予算は、建築工事費として平均的な金額のため、間取りや設備にこだわることもできます。このコラムや家づくり無料相談をぜひ参考にしてください。