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マーケティングチーム
2024.08.21 UP
2024年1月の能登半島地震をはじめ、近年は地震のほか、ゲリラ豪雨による洪水、台風の直撃などが頻繁に発生しており、南海トラフ地震や首都直下地震のような大地震や災害に備え、災害に強い家を求める傾向が強くなっています。
そこで今回のコラムでは、地震に強い家とはどのような特徴を持つのかを解説します。構造や工法などの技術はもちろん、地震に強い家を建てる際のポイントも紹介します。
地震に強い家にするには強度を高める必要があります。家の強度に関わる構造には、主に揺れに耐えるための「耐震構造」、揺れを吸収するための「制震構造」、揺れを伝えないための「免震構造」の3つの種類があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
耐震構造とは、地震に耐えるための建物自体の構造のことです。一般的な一戸建て住宅では、さまざまな工法や技術を駆使して建物自体の強度を上げています。
具体的には、筋交いと呼ばれる補強材などの入った耐力壁などを用いたり、ツーバイフォー工法を採用したり、接合部分を工夫したりと、地震に耐えられるように強度を高めていきます。
制震構造とは、地震の揺れを吸収する装置を建物の中に入れた構造のことです。制震構造は主にダンパーや重りなどで構成され、地震の揺れが建物に伝わるのを抑える仕組みです。建物の損傷を回避および軽減するのにも役立ちます。
一般的には3〜5階建ての中層建造物などで採用されるケースが多いですが、オプションとして一戸建て住宅に採用する事例もあります。
免震構造とは、一般的に建物と地面の間に免震装置を設置する構造のことです。免震装置は、積層ゴムなどでできたアイソレーターや、揺れを吸収するダンパーなどで構成されています。地震の揺れが直接建物に伝わらないため、家具が転倒するなどの被害も減らします。
主に中層〜高層マンションなどで採用されており、一戸建て住宅で採用されるケースはそれほど多くありません。
地盤とは、建物を建てる際に土台となる地面のことで、建物の安定性に影響を与えます。つまり、強い地盤に建てることで、より地震に強い家に近づけます。
地盤の強さはN値で表され、数値が高いほど強度が高くなります。住宅を建てる際は地盤調査に基づいて設計を行うことが原則で、一般的な一戸建て住宅であればN値は5以上が望ましいとされます。
万が一、地盤が軟弱であれば、地盤改良で対応する方法もあります。その方法として代表的なのは「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」の3つです。それぞれの特徴は以下の通りです。
・表層改良工法…軟弱地盤を掘り起こした土とセメント系固化財を混ぜ合わせて地盤を強化する工法です。
・柱状改良工法…円柱状の杭を地盤内に造成して建物を支える方法です。
・鋼管杭工法…地盤に打ち込んだ鋼製の杭で建物を支える方法です。
住宅瑕疵担保保険を申し込む際に必要なため、地盤調査は法律で実質的に義務化されています。家を建てる前に行われるのが原則です。
住宅の基礎とは、建物と地面をつなぐ部分のことです。その役割は建物を支えることで、鉄筋コンクリートで造られるのが一般的です。大きく「ベタ基礎」と「布基礎」の2つの方法があり、耐震性を含めてそれぞれ以下のような特徴があります。
・ベタ基礎…建物の床全体に鉄筋コンクリートで基礎を設置する方法です。基礎全体の面で建物を支えるため、荷重を分散させることができ、耐震性に優れています。湿気やシロアリの被害を防止することもできます。
・布基礎…柱や壁などの下に鉄筋コンクリートの基礎を設置する方法です。コストを抑えることができるのが最大のメリットですが、床全体を支えるベタ基礎に比べると耐震性は劣ります。
ベタ基礎のほうがコストは高いですが、耐震性が高いこと、湿気やシロアリに強いことなどから、現在では主流になっています。
地震に強い住宅にする際に、覚えておきたい知識の一つが耐震等級です。耐震等級とは、目で見るだけでは分かりにくい地震に対する構造躯体の倒壊・崩壊などのしにくさを数値化したものです。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(略して品確法)」によって定められている「住宅性能表示制度」を用いた住宅の品質に関する基準のことで、「構造躯体の倒壊等防止」「構造躯体の損傷防止」「その他」に分けられています。
このうち「構造躯体の倒壊等防止」「構造躯体の損傷防止」に関しては、等級1から等級3の評価がされます。具体的な基準は、「構造躯体の倒壊等防止」の場合、以下のようになっています。
等級 | 内容 |
等級3 | 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度 |
等級2 | 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度 |
等級1 | 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)に対して倒壊、崩壊等しない程度 |
住まいの情報発信局「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」より抜粋
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/070628pamphlet-new-guide.pdf
耐震等級1は建築基準法が定める最低限の基準で、震度5程度では損壊することはありません。震度6強程度の地震にも、即時に倒壊・崩壊しない強度があります。耐震等級2は筋交いを増やしたり、床の剛性を強めたりして耐震等級1の1.25倍の強度が必要で、長期優良住宅の認定基準にもなります。また、耐震等級3は消防署や警察署などの建物に求められる水準で、耐震等級1の1.5倍の強度が必要となります。なお、免震装置が設置されている建築物の場合は、「その他」が適用されます。
なお、耐震等級3で建てる一戸建て住宅には、以下のようなメリットがあると考えられます。
・大規模な地震に遭っても被害が小さく済む
・住宅ローンの優遇金利が適用される
・地震保険の割引率が大きくなる
・売却時に値崩れを起こさない可能性が高い など
耐震等級の認定を受けるには、第三者機関の住宅性能評価の審査を受ける必要があります。審査に合格すると「住宅性能評価書」が交付される流れになります。
これまで紹介した以外にも、地震に強い家を建てる際に意識したいポイントがあります。今回は、「シンプルな形状にする」「窓の大きさや数を確認する」「屋根に軽量な材料を使う」の3つについて解説します。
地震に強い住宅の特徴の一つは、四角形や長方形などのシンプルな形状であることです。地震によって揺れが発生すると、住宅にゆがみが生じるからです。
地震発生時に一部の柱や壁に負荷が集中すると、住宅が破損したり、倒壊したりする危険が高まります。しかし形状がシンプルであれば地震の揺れが一部に集中せず、均等に分散されるのです。
また、揺れが伝わる速度が遅くなるというメリットもあります。そのため、地震に強い家を希望する場合は、シンプルな形状にすることが推奨されます。
窓などの開口部が大きかったり、数が多かったりすると、建物の強度を上げるために必要な筋交いなどが入れられなくなります。そのため耐震強度を高めるには、窓の大きさや数は極力抑えたほうがよいのが定説です。
ただし、窓の数が少ない、窓が小さい住宅は室内が暗くなり、眺望も悪くなります。そのため、窓の数や大きさと、耐震性のバランスをうまく取ることが求められます。
例えば、注文住宅を依頼する際に「リビングの窓を大きくして日差しをたっぷりと取り込みたい」という希望はよくあります。その際、その希望を叶えるために業者では、耐震基準を守った上でできるだけ希望に応えられるような設計をしていきます。
ただし業者によって、窓を大きくするための工法や考え方が異なります。そのため「リビングの窓が大きいほうがいい」という希望をお持ちであれば、施工業者を選ぶ際にどのような実績があるのか調べておくと、安心して依頼することができます。
意外と知られていないのが屋根に使用される材料の重さです。重い屋根は地震の揺れによって建物に負荷がかかるため、倒壊する危険が高まります。
そのため、できるだけ軽量な材料の屋根にしましょう。主に、化粧スレート材や金属板などが軽い屋根といわれ、反対に瓦屋根やセメント瓦などは重い屋根に当たります。
軽い屋根材は地震の揺れを軽減できるほか、建物の構造体にかかる負担を小さくすることができるというメリットもあります。
ハウスジャパンでは、さまざまな技術や装置などを駆使して地震に強い住宅の提供を心掛けています。具体的に見ていきましょう。
ハウスジャパンが建てる住宅は、長期優良住宅を標準仕様としています。長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて、「長く安心・快適に暮らせる家」として国に認められた高品質住宅のことです。
以下の性能を備え、認定基準をクリアしています。
・耐震等級3
・断熱性能等級5
・一次エネルギー消費量等級6
・劣化対策等級3
・維持管理対策等級3 など
このうち耐震等級3に関しては、以下の工法などにより実現しています。
従来は根太と呼ばれる角材で床下地を支える工法を用いていましたが、根太を使わずに構造用合板を梁に固定する根太レス剛床工法を用いています。水平方向の力に強く、地震発生時の床材のズレを軽減する効果があります。
従来の軸組工法とパネル工法のよさを組み合わせたハイブリッド工法です。6面体の箱形にして柱や梁、土台を構造用パネルで一体化することで、外部からの力を建物全体で受け止めることができます。
壁下地材として耐力面材を使用し、地震の力を面全体で受け止めることで、筋交いに比べて端部への負荷を軽減することができます。また、木質系耐力面材の約12倍の透湿性があるため、カビやシロアリなどの被害も防止することができます。
1・2階を一体化するための通し柱に採用しているのがドリフトピン工法です。接合部分の強度は一般的な工法の1.5〜3.0倍になっており、耐震性能の向上に寄与しています。
ハウスジャパンが耐力壁に採用しているのが高性能ダンパーの「Kダンパー」です。摩擦によって、地震の振動エネルギーを効率よく熱エネルギーに変えて吸収する仕組みになっています。
地震に対して、構造の強さで対抗する「耐震」と、地震エネルギーを打ち消す「制震」の2つの機能を併せ持っているのが特徴で、筋交いのみの場合に比べて揺れ幅を最大76%低減させることができます。なお実験では、震度7の揺れを10回与えても、ほとんど損傷がないという結果も報告されています。
許容応力度とは、建築物に加わる外力に対する、各部材の抵抗する力の構造上の限界点のことです。台風や地震などを受けた際にかかる力を計算することで、各部材にとって必要な強度を割り出すことができます。
こうした構造計算のことを許容応力度計算といい、許容応力度計算を実施することで安全性能レベルはさらに高まります。ハウスジャパンではこの許容応力度計算を全棟で実施しており、各部材にかかる力を上回るように設計しています。つまり、すべての住宅において高い安全性を持っているということなのです。
このほか、基礎や地盤に対しても基準以上の強度になるように第三者機関から厳しいチェックを受けています。
今回は構造や基礎、地盤などの観点から、地震に強い住宅のさまざまな特徴について解説しました。日本は地震大国で、特に太平洋側沿岸部では、南海トラフ地震のような巨大地震が起きることも想定されています。正しい知識を持つことで、地震に備えられる注文住宅にすることができますので、今回の記事をぜひお役立てください。
なお、ハウスジャパンでは耐震等級3を含む長期優良住宅仕様が標準となります。耐震に関わるさまざまな技術や工法を取り入れており、安心して長く住めるような住宅を提供していますので、お気軽にご相談ください。