記事の著者
マーケティングチーム
2024.05.21 UP
少子高齢化が進む日本で、歳を重ねても住みやすい平屋建てのニーズが見直されています。フラットな間取りとシンプルな生活動線で2階建てにはない魅力をもつ平屋建て住宅には、メリットも多い反面注意しなければいけないこともあります。
この記事では、平屋建てのメリット・デメリットから建築費用を抑えるポイントまで解説します。
【サーファーズハウス】
本場アメリカらしい西海岸風の、明るく爽やかな雰囲気をふんだんに盛り込んだお家です。ザ・サーファーズハウスな外観にかわいらしいガーデンスペースが印象的です。
お施主様のこだわりは玄関クロークです。愛用するサーフィングッズのメンテナンスや収納ができます。
アイランド型キッチンのあるLDK。キッチンとダイニングが横づけで家事動線の良い間取りです。
【愛犬と暮らす平屋】
お施主様と愛犬が快適に暮らせる工夫がたっぷり詰まった、ドッグラン付きコテージ風の平屋です。22.8坪の広さで自由に遊ばせることができます。
ドッグラン代わりにもなる広々としたお庭です。
勾配天井にクリア塗装の上り梁が印象的な空間
勾配天井のLDKには、家中を暖めてくれる薪ストーブを設けました。
【明るく開放的な平屋】
リゾート感をかもし出しながらも、どこか懐かしさを漂わせる落ち着いた雰囲気の平屋です。
梁を見せた勾配天井のLDKは開放感が抜群。天井の高さに変化をつけたメリハリのある空間です。
高い天井で開放的なリビングです。
LDKや寝室に設けた天窓が、室内に陽の光を届けてくれます。
平屋建てとは、リビングやキッチン、浴室などの水回り、子ども部屋、寝室まですべての居室がワンフロアにある家のことです。ここでは、平屋建てのメリットについて解説します。
平屋建てのメリットの1つに、間取りや空間の自由度の高さがあります。家を建てるとなると、耐震性能や耐風性などにもこだわりたいはずです。この点、2階部分がなく構造上の制約が少ない平屋建ては、間仕切りを自由に配置しやすく、家族構成やライフスタイルに合わせた間取りにしやすいといえます。
また、2階部分がない平屋建ては、小屋裏をロフトや収納、ちょっとしたキッズスペースとして活用することもできます。間仕切りを減らした広いリビングに合わせて天井を高くしたり、勾配をつけたりすることで、開放感のある空間にすることも可能です。
バリアフリーで上下階の移動の負担がなく暮らせる点は、平屋建ての最も大きなメリットといえます。2階に物をとりいく必要もなく、階段での事故などの心配もないため、高齢の方は特にバリアフリーのメリットを感じやすくなるでしょう。
上下階の移動がともなう2階建てと比べて、平屋建ては1階で生活が完結することができます。そのため家事や建物内の移動の負担を軽減できる点は大きなメリットです。
例えば、洗濯物を集め、洗濯して外に干す、たたんで片づけるという家事動線を、建物の配置や動線を工夫することで、効率的に動けるよう設計することも可能です。部屋の掃除や片付けなどにも縦の移動が伴わない分、楽に行うことができるでしょう。
また、高齢になったときのことを考え、水回りのスペースや通路幅を広げたり、動線を短くしたりするなど、移動の負担を少なくすることで長く安心して暮らすことができます。
階段がないため、そのスペースを有効活用できる点もメリットです。
2階建ての場合、階段や踊り場は生活スペースとは切り離して考える必要があります。階段前のホールのスペースも必要ですし、階段回りは間取りのなかで活用しにくい、いわゆるデッドスペースも生じやすい場所です。
同じ床面積の平屋建てと比較すると、平屋建ての方が有効活用できるスペースが多い分、広さを感じながら生活できるかもしれません。
平屋建ては、2階部分がない分重心が低く、支える荷重も少ないため、構造的に安定しやすいといえます。そのため、地震や台風の影響を抑えやすくなります。
また、建物内の地震の揺れの影響は1階より2階のほうが大きくなります。平屋建ては揺れの影響を受けにくく、家具や家財の被害が生じにくい点もメリットといえるでしょう。地震や火災の際に避難する経路を考えた場合、寝室も1階になるため、屋外へ避難しやすい点も安心です。
家を購入すると、購入後のメンテナンス費用を考えなくてはいけません。一戸建ての場合、建物内だけでなく屋根や外壁を含めて、計画的に準備していく必要があります。
屋根や外壁の補修や塗り替え、コーキングの打ち直しなどのメンテナンスをする場合、必要な高さに応じて、足場を組む必要があります。
この点に関して平屋建ての場合、建物高が低い分、足場の高さを抑えやすく、メンテナンス費用を抑えやすくなります。修繕箇所によっては不要なケースもあるでしょう。
また、長く住んでいると給排水管の詰まりや水漏れが発生することもあります。2階に水回りがある家だと、1階の天井と2階の床の点検、修繕が必要になることもありますが、平屋建ての場合、給排水管の配置も1階で完結するため点検やメンテナンスしやすいでしょう。
メリットが様々ある一方、平屋建にはどういったデメリットが考えられるのでしょうか。
立地条件によっては、採光や通風の確保で工夫が必要となる可能性があります。
平屋建ての採光はすべて1階から取ることになりますので、隣にマンションや3階建ての家など高い建物が建つと、日当たりが悪くなることがあります。
また、平屋建てで延床面積を確保するために、建ぺい率いっぱいに建てると、隣の建物との距離が近くなることも考えられます。建物が近くなるほど、日当たりや通風が悪くなりやすいため、高い位置に窓を設けたり、ライトコートを作ったりするなど、採光や建物の配置に工夫が必要となることもあるでしょう。
家族間のプライバシーを重視する場合、平屋建ては2階建てと比べプライバシーを確保しにくいことがあります。
子どもの性別が異なる、夫婦で仕事や生活時間帯に違いがあるなどの場合、一定のプライバシーを確保しながら生活したいケースもあるでしょう。
また、すべて1階に配置する平屋建てでは、立地や建物の配置によっては、周辺の建物や道路からの視線が気になる可能性もあります。
寝室などの居室を1階に設けるため大きな開口部も多くなり、防犯対策に気を配る必要があります。誰かが侵入してきてしまっても分かりやすいように、建物の周囲に砂利を敷いたり、人感センサー、防犯に強い鍵にしたりするなどの対策が考えられます。
また、周囲に家がない立地を避けることや道路からの死角を作らないように植栽や塀など、外構計画に工夫をすることも大切です。
水害リスクにしっかり備えることが大切です。
1階にすべての居室を配置する平屋建ては、集中豪雨による川や池の氾濫などが起きた場合、家財や電化製品などの被害が2階建てと比べると大きくなる可能性があります。また、床上浸水が起こると上階への避難ができません。
自然災害は予測することが難しいため、浸水や洪水の起きる可能性が低い土地選びが大切です。ハザードマップで災害リスクを確認するとともに、敷地と道路、周辺の土地との高低差などもチェックしましょう。
同じ延床面積、間取りとして、総2階建ての家と比べた場合、平屋建ての方が坪単価が高くなる場合があります。同じ床面積を1階だけで確保しようとすると、屋根や基礎の面積は単純に考えると2倍必要です。
また、土地の取得から考えた場合、2階建てよりも広い敷地面積が必要になるケースがあります。
ただ、足場を組む費用や給排水管工事の費用を抑えやすい面もありますので、一概には言えませんが、2階建てより費用がかかるケースもあるという点に注意してください。
平屋建ての建築坪単価の相場は、一般的にハウスメーカーで70~80万円/坪、工務店で60~70万円/坪程度といわれています。
図表1は、愛知県の一戸建ての床面積をもとに、建築費の目安を計算したものです。
※建築費は坪単価70万円で算出
図表1
住宅種別 | 床面積(坪数) | 坪単価70万円の建築費目安 |
持家 | 119.6㎡(36.17.坪) | 2,531万円 |
愛知県の平均的な広さの家を坪単価70万円で建てた場合の建築費の目安は約2,530万円になります。
家族構成などで必要な広さは異なり、仕様や設備のグレードによって建築費用は変わります。70万/坪で90㎡程度の広さであれば、2000万円内の予算内で抑えることも可能です。
なお、平屋は2階建てと異なり、床面積が建築面積に近くなります。土地選びの際に、指定されている建ぺい率によって、必要となる土地面積が広くなり、総予算として土地購入代金が増える可能性があります。土地から購入する場合は、必要な建築面積と地域によって指定されている建ぺい率を確認することが大切です。
※建ぺい率は、敷地面積に対して建てられる面積(建築面積)の割合
平屋建てで費用を抑えるポイントを解説します。
建物の外観、形状をシンプルにすることで費用は抑えやすくなります。
凹凸の多い複雑な形状や外観だと、それだけ外壁や基礎工事に必要な面積が増えやすく、屋根の形状も複雑になる分、部材費や施工の手間が増えます。できるだけシンプルな平面にすることで、構造的にも安定しやすくコストは抑えやすくなるでしょう。
建築コストを下げるには、住宅設備にメリハリをつけて選ぶことも大切です。キッチンやユニットバス、洗面・トイレなどの水回りは、優先順位をつけながら設備のグレードを調整しましょう。
キッチンでも標準的なタイプと高級モデルだとかなりの価格差があります。キッチンレイアウトからガスコンロ、IH、食洗器の有無、扉材の種類など選び方によって費用は変わります。
機能面や使いやすさ、節約できる時間や手間、快適性、デザイン性など、判断する基準はありますので、こだわりが少ないところはグレードを落とすなどメリハリをつけるようにしましょう。
間取りの自由がききやすい平屋建てでは、間仕切り壁を少なくすることで建築費用を抑えることも可能です。間仕切りを減らし、広い空間に仕上げることで、壁の部材や仕上げにかかるコストを節約できます。子どもの性別や年齢などによって必要な部屋数も変わりますが、壁を設けずパーテーションなどで部屋をシェアすることで費用を抑えやすくなります。
平屋建ては、バリアフリーなうえ間取りの自由度が高いため、長期の視点で考えてもライフスタイルや家族構成の変化に対応しやすい住宅です。
しかし一方で、採光やプライバシーの確保、水害リスクに対する備えなど、立地条件によっては注意すべき点もあります。
また、建築コストは、同じ規模の2階建てより高くなる場合があり、土地探しにおいても2階建て以上に広い土地が必要となる場合もあります。そのため、土地を所有している人のほうが平屋建てを積極的に検討しやすいかもしれません。
平屋建てか2階建てかを迷っている方は、以上のメリット・デメリットを参考に検討してみてください。
なお、ハウスジャパンでは耐震等級3を含む長期優良住宅仕様が標準となります。平屋で末永い暮らしを実現するための家づくり相談会(無料)を開催していますので、お気軽にご相談ください。